IQ 余談
IQ成績発表後、少しだけ座談会。
そのうちの興味深かったテーマを2つ書いてみる。
1)オクトパスは左出しか右出しか
以前、NAUIでも議論になったらしい。
NAUIとしての結論は
・マスタースクーバまでは右
・以降はどちらでもよい
とのこと。
なぜか。
まずは左出しの場合。
オクトパスブリージングアセントをするときにバディ同士が完全に向かい合ってしまう。
その状態でフィンキックをすると足がぶつかって上手に浮上できないとのことだ。
とくに両者とも力の弱い女性の場合、BCから一気に排気して浮力がマイナスになってしまうと、浮上できないのだ。
過去にそれが原因と思われる事故もあったらしい。
いっぽう右出しだと、オクトパスのホースはS字を描いて少しテンションがかかるが、両者は斜めに向かい合うことになる。
互いに相手の右肘を右手で持ってホールドするから、インフレーターの操作がしやすく、フィンキックの際にも足がぶつからない。
なによりセカンドステージは必ず右にある、という原則からはずれない。
また自身の予備としてオクトパスが使える。
なれないうちはそのほうがいい、というのがNAUIの見解だ。
しかし。
オクトパスブリージングをしているときに浮上ではなく水平移動しなければならないケースがある。
左出しだと並んで泳ぐことができる。
右出しだと、上下に重なって泳がないといけない。
もらう側が上になってしまい、あげる側から顔が見えない。
今までオクトパスブリージングを何回かしたが、いずれも水平移動が必要だった。
浮上できる場所まで戻るためだ。
顔が見えない状態で泳ぐのが不安だったので、すべて仰向けになってもらって水中を曳航した。
左の方がいいかなーと思っていた矢先のこの議論、非常に興味深かった。
ちなみに右出しにするとファーストステージの低圧ポートの数の制限でドライスーツ用のホースが左から出てくる。
ところが多くのドライスーツの吸気バルブは右からくることを想定している。
機材メーカーはオクトパス左出しが想定なんだろうか。
ちなみに、PADIは左出しを推奨しているらしい。
2)緊急浮上の優先順位
NAUIで講習する(説明だけを含む)浮上スキルは4つだ。
1.オクトパスブリージングアセント
2.緊急スイミングアセント(-12m以浅のとき)
3.ポジティブボイヤンシーアセント(フレアリング/-12m以深のとき)
4.バディブリージングアセント
お勧めはバディのオクトパスをもらって浮上する1つ目。
では次は???
バディブリージングだろうか?
実は緊急スイミングアセントだ。
バディブリージングは、いまやスクーバーダイバーのコースで練習をしない。
ひとつのセカンドステージを交互に吸うのは難しいし、予備のセカンドステージがないという状況があまりないからだ。
だから近くにバディがいてもオクトパスがなく、水深が12mより浅いのあれば緊急スイミングアセントをすることになる。
では水深が深くてオクトパスがないときは?
バディブリージングで水深12mまでいって、そこから緊急スイミングアセントか?
でないとバディブリージングの出番がないし。
ちなみに海上保安庁の場合、エア切れのときはバディブリージングをするらしい。
装備にオクトパスはないとのこと。
さて、そこで問題。
「水深40mでバディがエア切れ、自分の残圧は30。
そのときどうする?」
聞かれたらこう答えるかなー
「2人で、水深-12mまでエアを共有して浮上、エアがなくなったら緊急スイミングアセント」
ちなみにエア消費を計算してみると
40mから水面まで到達するための所要時間は浮上速度を毎分10mとして4分。
タンクの容量が10リットルで残圧30だとすると、残りのエアは300リットル。
水深40mから水面までの平均環境圧は3気圧であることから、使えるエアは水面換算で100リットル。
これを2人で共有だから50リットル。
50リットルを4分間で使うということは、1分あたり12.5リットル。
ベテランダイバーであれば1分間のエア消費量は13リットル以下だろう。
また水深20m以深ではさらにエア消費量が少ないはずだ。
実はこの問題、ある映画の中で極限状態の例として出てきたものだ。
しかし減圧停止をしないのであれば十分に浮上できるのだ。
まぁ水深40mで残圧30になるまで作業していれば、多分1人でも浮上できないほどの減圧停止指示が出ているだろうけど…
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